どうやってクライアントと目指すデザインのイメージをすり合わせていくか
Webサイトを作るとき、クライアントからどのようなものを望んでいるのか、詳しく聞き取ることが間違いのない制作の第一歩ですよね。
Webデザイナーもデザイン専業でやっている方、またはディレクションからコーディングまで全て1人で対応している方など働き方は様々だと思います。
Webデザインを制作する段階になって、また制作途中に「あ〜なんでこれ聞いてないんだろう(聞かなかったんだろう)」なんて思ったことないでしょうか。デザインの方向性に関わる部分がクライアントの思いとずれていると、完成させてもデザインにOKいただけないということが発生しがちです。
ヒアリングはいつ行うか
ヒアリングはデザイン以前の画面設計より前の段階で行っている必要があります。
クライアントにその場の口頭だけでヒアリングしようとすると、聞き漏らしが発生することもありますし、クライアント側も複数の担当者がいたり、決裁権者が別にいたりとその場で答えにくいケースもあるかもしれません。
事前に「ヒアリングシート」を作ってクライアントと共有した上で、その後細かな聞き取りを口頭で行うなどするとスムーズな進行ができると思います。
デザイン制作で必要なヒアリング項目
どんなサイトでも必ず事前に聞いておくべきヒアリングの基本となる項目は大体決まってきます。
(1)ターゲット:どんな人に向けたものにしたいですか
性別、年代など。特定の属性の人に向けた内容にする場合は、職業やライフスタイルなども聞き取ることが重要になってきます。
例えば20代の女性と一括りに言っても、化粧品の場合、学生、独身の会社員、小さな子供のいる主婦などそれぞれに訴求するポイントは変わってくるはずです。できるだけターゲットの人物像は明確にしておきましょう。
(2)目的:何を伝えたいですか
上記のターゲットにWebを通じて何を伝えたいのか。商品の強みであったり、企業のイメージであったり様々なことが考えられます。またその商品やサービス、会社の強みなども併せて聞き取るといいでしょう。
(3)ゴール:最終的にどうして(どう感じて)欲しいですか
資料請求の数を増やしたい、会員登録数の数を増やしたい、または企業に対してこんなイメージを持ってもらいたいなど、Webサイトの目的となるものです。
(4)どんな雰囲気のデザインを求めますか
カラーやデザインテイストについてどんな要望があるか聞いておきましょう。
優しい、シャープ、ゴージャス…など該当する単語をピックアップしてもらうのも良いと思います。また、それらを選んだ理由についても説明してもらうと理解が深まります。
(5)イメージに近いデザイン(Webページや画像など)を教えてください
上の項目で聞き取った求める雰囲気のキーワードだけでは、言葉のイメージの認識不一致など起きがちです。
「かわいい」の単語ひとつとっても、人によって思い浮かべるイメージ違ってくるはずです。
参考となるデザインや画像があると具体的なイメージを共有しやすくなります。クライアントにはそれが良いと思った箇所や理由まで併せて聞いておきましょう。
(6)避けたいイメージはありますか?
避けたい表現を確認することで、4、5の希望するイメージの焦点がよりはっきりしてきます。
Webデザイン制作で事前に確認しておきたい、基本的なヒアリング項目は以上のようなものになると思います。
もちろんこれだけ聞いておけば全て大丈夫というわけではなく、状況によっては質問の範囲を広げることも必要になってきます。
また、これに加えて、クライアントがなぜ発注するに至ったかという理由や経緯を把握しておくのもおすすめです。
受注時に営業さんが聞いていることが多いと思いますが、デザインのテイストを左右する思いもよらぬ理由がある場合があります。
個人的な経験だと、今使用しているサイトのデザインがとにかく嫌いだからなんていう理由もありました。既に公開されているものなのだから、クライアントはこういうテイストが好きなのだろうと意識して作ると没になりかねないパターンです。
リニューアル案件などで、今のサイトもそんなに悪く見えないのにどうして作り直すことになったのだろう?と、ヒアリングシートの回答からも理由が読み取れない時は突っ込んで聞いてみるようにしています。
ヒアリングシートは既にあるはずなのに上手く活用できていないケース
既に「ヒアリングシート」が用意されているのに案件対応時にその内容が無視されている、上手く活用できていないと感じる方もいるかもしれません。もしかすると、そのシートが使いにくいということはないでしょうか?
会社に所属していると、実際ヒアリングするのはデザイナーではなく営業やディレクターである環境も多いと思います。
どうして基本的なことを聞いていないの!とイライラしたり困ったりする前に、なぜ活用できていないのか原因を探って改善策を打ち出してみてはいかがでしょう。
フォーマットだけの問題ではなく、単にヒアリングシートの存在を知らない、使いにくい場所にある、使用タイミング(フロー)が確立されていないことが原因の場合もあり得ます。
また、デザイナーから、使いやすい「ヒアリングシート」を提案してみるのも良いと思います。
この時、デザイナー視点だけで作ってしまうとやたら項目が多くなってしまうこともあると思うので、実際に使う営業職やディレクターも含めて「クライアントが理解しやすく使いやすいもの」でもあることを意識しながら作っていくと、活用されやすくなるのではないでしょうか。
いずれにせよ、ヒアリングは制作の基礎となる部分なので、そこが疎かになっているのは問題です。
良い提案は良いヒアリングから始まるので大切にしたいですね。
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